15、女性のセックスレスについて

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第15回: 女性のセックスレスについて

バイアグラなどのED治療薬が世に出てきて、男性のセックスレス、EDというテーマは盛んにニュースに取り上げられるようになりましたが、一方、女性のセックスレスについては女性誌ぐらいでしか見かける事はありません。

このようなテーマは逆に、「はしたない」というような感覚がまだ強いせいか、真剣に話し合われる場所もないような気がします。
今回は女性のセックスレス(女性性機能障害 FSD)に焦点を当てて、解説をしていきたいと思います。

女性性機能障害(FSD)とは?

身体的な問題はないのに、性的に興奮せずセックスをする気が起きない、性交痛があるためセックスが苦痛になったり、セックスは汚いものだと思ってしまうような状態のことを「女性性機能障害:(FSD:Female Sexual Dysfunction)」と言います。

多く見られるのが出産後の身体や心の変化によるFSDの発症です。
出産してから性交痛が伴うようになったり、セックスそのものに関心がなくなり、「しなくても構わない」というような心理になるようです。

FSDは、女性のデリケートな心と身体の問題が絡み合っているため、原因を特定したり、治療するのが困難なのが特徴です。また、パートナーのEDが女性性機能障害を引き起こし、逆に女性性機能障害がEDの原因となっている場合も数多くあります。

FSDの症状

1)性嫌悪症

セックスそのものに嫌悪感を抱き、性行為自体ができなくなる症状。
「身体に触れられるのが嫌」「セックスが嫌でたまらない、苦痛」という状態です。
性欲は普通にあるので、マスターベーションはできても、セックスは嫌というのが特徴です。仲の良い夫婦やカップルにも多く見られるそうです。

2)性興奮障害

セックスをしようとしても、膣が濡れてこない、セックスの途中から膣が痛くなり、快感も感じないという症状です。 女性は性的欲求が高まれば、いわゆる「濡れてくる」のはよく知られていますが、小陰唇など性器が充血し、膨張してくる等の反応も起こります。
性興奮障害は 充血期における障害なので、血管の充血作用がないため、潤滑作用が起こらず(濡れない)、膣の拡張もなく、オーガズムも起こらない症状を指します。

3)性交痛障害

セックス中に強い痛みを感じ、行為自体ができなくなる症状です。
痛みを恐れるあまり性的興奮が起こらず、その結果、女性性機能障害に陥ってしまうというケースが多く見られます。
性交痛障害には「膣痙」と「性交疼痛症」の2つの症状があります。

【膣痙】
ペニスを挿入しようとすると、膣が収縮してペニスをはじきだし、挿入できない症状を膣痙といいます。主に心理的な原因によりますが、まれに処女膜強靭症など、身体的な状態が原因となっている場合もあります。

【性交疼痛症】
性交疼痛症(性交中の痛み)は、痛くて痛くてセックスできない症状です。また膣痙や興奮障害における膣潤滑不全とは別の疾患と定義されています。

4)オーガズム障害

セックスをしても、一度もオーガズムを感じたことがない、マスターベーションではオーガズムを感じることができるという症状です。日本では不感症と呼ばれることもあります。

一度もオーガズムになったことがない場合を原発性オーガズム障害、ある時期まであったのにオーガズムを感じなくなった場合を二次性オーガズム障害、マスターベーションではオーガズムになるが、パートナーとの性行為ではオーガズムにならないような場合を状況性オーガズム障害といいます。

FSDの原因

原因は心理的な要因と身体的な要因に分かれます。

1)心理的な要因

FSD発症の主なものは、心理的な原因が大きいと言われています。 性的なものを受け入れられない背景には、トラウマ、育ってきた環境、夫や恋人との関係性など、原因は多々ありますが、自分で「これが原因」と特定できないことが多いのも特徴です。

2)身体的要因について

FSDの身体的要因に多いのは、加齢による女性ホルモンの低下。
女性ホルモンが不足すると、性欲が減退、性的興奮の低下、膣の乾燥・委縮などの性機能障害が起きます。

閉経後の女性の多くみられる症状で、早期にエストロゲンなどを補充すると、症状を改善できることがあります。
FSDを引き起こす身体的要因には、他に以下のようなものがあります。

●膣炎
●膀胱炎
●骨盤内手術の後遺症、産後の骨盤の歪み
●糖尿病
●薬の副作用(ピル・抗うつ剤など)
●甲状腺機能の低下

妊娠・出産、閉経など女性ホルモンの変化が原因となり、女性の大半がFSDの症状を経験するそうです。

ただし、軽度のもので自然に回復するケースや、一度FSDになったきりそのまま引きずってしまうなど、 人によって症状の重さはさまざまです。

不妊治療とFSD

不妊治療時にFSDで問題になることは多々あります。
ドクターのインタビューの中で良く出てくるのが、子宮内膜症に伴う性交痛障害のケースです。

女性にとっては強い痛みを伴う事が多いので、FSDに結び付くのだそうです。
よって、逆に性交痛を訴えられる患者さんが来られると子宮内膜症を見つける事も多いそうです。

<最後に>

今回は女性のセックスレス(FSD)について解説をしてまいりました。
男性のセックスレスも女性のセックスレスも原因は、心理的な部分が大きく影響している事が分かったのではないかと思います。

セックスレスという現象は心とカラダの1つの シグナルです。放置しておく事は不妊治療時においては得策ではありません。
まずパートナーとじっくりと話し合う事が必要になります。二人の問題ですから、夫婦の協力なしに、改善する事はないかと思います。

それから、どうしても夫婦間で解決が出来なさそうであれば、恥ずかしいと思わないでドクターに素直に相談する事が大事だと思います。

次回はFSDの治療について解説をしていきたいと思います。

■コラム執筆 池上文尋 氏

オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。

池上先生のイラスト
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