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第4回: 排卵障害の治療(1)〜排卵誘発剤について

前回は排卵障害についてその種類と検査について解説を行いました。
この回からは、その続編として、排卵障害の治療についてお話をしていきたいと思います。

排卵障害には視床下部性排卵障害・下垂体前葉性排卵障害、高プロラクチン血症といった脳のホルモン分泌の異常によるもの、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のような疾患がメインの症状になります。

通常、以前にも書いた通り、ほとんどの場合が明確な原因が分からないので、治療は薬物療法+タイミング療法を取られる事が多いです。

今回は、排卵障害治療のメインであるクロミフェン療法とHMG−HCG療法について、解説をしていきたいと思います。

 

視床下部性・下垂体性排卵障害

「クロミフェン+タイミング療法」を選択される事が多いですね。これで3〜6カ月ほど様子を見て、もしうまくいかなければ「HMG(FSH)−HCG療法」に移行することになります。

検査値で明確に原因が分からなくても治療を開始して、妊娠すれば排卵障害だったのだなと分かるので、原因が特定出来なくても実施するパターンが多いです。

 

クロミフェンとは?
経口(口から服用する)排卵誘発剤をクロミフェン製剤といい、その中でもクロミッド(塩野義製薬)は最も広く処方されている薬です。発売から40年以上経過している古いお薬です。クロミフェンにはクロミッドの他にも、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬がありますが、すべて同じ成分で名前が違うだけです。

クロミフェンは視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。どちらかというと卵胞を育てる力が強い薬です。

経口投与が出来て、価格もお手頃なので不妊治療の初期には必ずと言っていいほど使われる薬です。

クロミフェンを長く使うと副作用が出てくるので注意が必要です。具体的に言うと頸管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった「抗エストロゲン作用」の副作用が起きやすくなります。よって、一定の期間試してみて効果がない時には、次へのステップへ進む必要性があります。特に不妊を専門にされていない婦人科や内科の場合はクロミフェンを投与しておけば妊娠するかも・・・という目的で漫然と使われるケースも多いのでその点は要注意です。

 

HMG−HCG療法とは?
「クロミフェン+タイミング療法」で妊娠しなかった場合、次のステップに進むとHMG−HCG療法に移行します。HMGの解説は下記に書いておきますが、この薬剤には卵の入った卵胞を育てる作用があります。それをこのホルモンで育てて、卵胞の大きさが約20mm〜22mmになるとHCGを投与し、排卵を促す治療法です。

HMG(ヒト閉経ゴナドトロピン)とは、卵巣を刺激して卵胞を成熟させる注射薬です。商品名ではHMGフジ、HMGフェリングなどがあります。また HMG製剤でも、HMGの中からできるだけLHを取り除いたものをFSH製剤と呼んでいます(フォリルモンPなど)。

最近ではHMGだけではなく、その中に含まれるFSH(卵胞刺激ホルモン)だけをバイオテクノロジーで抽出した遺伝組み換え型薬剤も発売されていますので、そちらを活用されるケースも増えてきています。

人間のカラダの中で行われているホルモンの活動を外からホルモンを加える事により、再現し、卵胞の成長と排卵を促す治療法と言えます。よって、カラダの中のホルモンを一旦リセットするためにGnRHアナログ(ブセレリン・ナサニール)という点鼻のお薬を使う事も多いです。

 

副作用について
HMG−HCG療法については オールアバウト にもよく質問が来ます。特に副作用についてのご質問が多いので、こちらでも書いておきたいと思います。

副作用は3点注意しておくと良いかと思います。

1) OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
HMG−HCG療法の副作用で最も怖いのがOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。OHSSの発症頻度は約10%〜20%です。場合によっては重症化して卵巣が腫れ、20cmぐらいになり腹水がたまることもあります。
しかし、不妊を専門にされている先生にとってはよくわかっている副作用なので、きちんと自分の体の状況を伝えておけば、まず大丈夫です。

OHSSは専門の先生によると、副作用ではあるけれど、妊娠しやすい状態でもあるとのお話です。OHSSの起きるぎりぎりのところまで卵巣を刺激することが、妊娠への近道なのだそうです。だから不妊症治療において、あながち悪いとばかり言っていられないのです。

ただし、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)で排卵誘発により卵巣内にいくつもの卵胞が育っている場合はOHSSになりやすいので、その周期のHCG投与は中止されることが多いです。HCGを打たなければOHSSにはならないからです。

2) 多胎
二つ目の副作用は多胎です。排卵誘発で卵胞が複数発育していれば多胎の可能性があります。じゃあ、多胎がなぜ副作用、と言われる方もいることでしょう。双子ちゃんはあこがれと言われている方も多いと思います。

しかし、実は多胎は2つの側面で副作用と言われております。

●子供の数が多ければ多いほど、母子共に妊娠中毒症等の合併症の
危険性が飛躍的に上昇

●もし無事に生まれたとしてもその後の経済的問題とケア的問題の発生

これらの事を考えると、あこがれだけで双子を産むべきかと考えてしまいますよね。

3) アレルギーの問題
HMG製剤は尿由来のホルモン剤です。尿からホルモンを抽出するのです。だから夾雑なタンパク質が含まれているのでアレルギー反応を起こしやすいと言われています。
注射時の強い痛み、注射した部位の発赤や腫れ、不定愁訴など起こすケースもよく見られます。

アレルギー反応が強い場合は、FSH製剤に切り替えてもらうなどの対策が必要です。

<最後に>

排卵障害治療や原因不明の不妊治療で活用される“クロミフェン”や“HMG−HCG療法”などの排卵誘発法は、不妊治療の中でも保険医療でカバーされる治療です。
だから意外に安価に治療できるものです。

そして、実はタイミング療法とこれらの薬物療法の組み合わせは、不妊治療で最も妊娠率の高い治療法なのです。

最近、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療にいきなり不妊治療初期からチャレンジされる方が増えていますが、それは特別な理由がない限り、ナンセンスです。

これらの薬物治療はすでに40年以上使われ、洗練されてきた治療法です。
副作用も効果も不妊を専門とされている先生方は熟知しており、お手の物です。

ホルモン製剤というと、印象的に「作用が強いのでは?」とか「副作用が怖い」という方が多いですが、過度に怖がらずに受診して頂くと良いかと思います。
妊娠する確率がぐんと上がると思いますよ。

 

次回は、排卵障害治療のパート2として、PCO(多嚢胞性卵巣症候群)の治療について解説をしてまいります。

 

■コラム執筆  池上文尋  氏

〜「All About」の不妊症ガイド〜
85000人のファンを抱える人気メルマガを執筆中。

池上文尋

 

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