13、セックスレスについての基礎知識(男性編パート2)

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第13回: セックスレスについての基礎知識(男性編パート2)

EDとは男性の勃起機能低下の事でErectile Dysfunctionの頭文字をとってEDと呼ばれます。勃起障害や勃起不全と訳されます。
今回はEDについて解説をしてまいりたいと思います。

医師の定義では「普通の状態で性行為を行う場合に、充分に勃起をしたり、勃起を維持できない事により、性行為を行えないこと」としています。

じゃあなぜ、このEDが最近、良く取り上げられるようになったのでしょうか?
一番の原因はバイアグラというED治療薬が世に出て来た事がきっかけです。それまでは怪しげな薬剤が横行していましたが、効果の明確な薬剤が出て来たことで、この疾患が脚光を浴びる事になりました。

最近ではEDも一般的な言葉として使われるようになり、草食系男子の1つの特徴のような感じになってきました。また、不妊の分野においても原因の一つとして認識されるようになってきました。

それからよく間違えるのは、「性機能障害」と「勃起障害」が同じ意味のように捉えられることが多いのですが、若干意味が違うので再確認して頂ければと思います。

●性機能障害:性欲、勃起、性交、射精、オーガズムの一つでも欠けるか不十分なもの
●勃起障害:勃起が不十分であること(よって、EDは性機能障害の一つとして含まれる)

それではEDについて解説をしてまいりましょう!

EDの分類

EDは大きく分けて3つに分類することができます。
それは下記の通りです。

1)機能性(心因性)勃起障害

解剖学的に勃起機能に異常は無いが、何らかの心理的要因などにより満足な勃起ができない状態。

2)器質性勃起障害

勃起に関わる各神経、組織、血管系(血管性勃起障害)、或いは陰茎自体の異常(陰茎性)などの解剖学的な問題、もしくは内分泌障害によって満足な勃起を得られない状態、脊髄損傷などの各種外傷、手術、及びそれらの後遺症によることもある。

3)混合性勃起障害

機能性勃起障害、器質性勃起障害が混在している状態。

EDの原因と診断

●EDの診断と主な原因とは?

EDの診断は、主に問診が主体となります。
国際インポテンス学会で考えられ、日本性機能学会で訳された「IIEF5」という問診表を使うことにより、その人の病歴・薬歴・性機能を診断いたします。また身体所見や臨床検査によって基礎疾患やホルモンの異常がないかを調べます。

この検査で、EDの原因が心の影響によるものなのか、それとも病気や薬剤、身体的異常に起因するものなのかがわかってまいります。 主なED原因は、下記のようになります。

◎ 生活習慣病によるもの

糖尿病・高血圧症・心臓病・高脂血症などで陰茎(ペニス)の血管が障害をうけ 十分な血液が流入しないため

◎ 前立腺の手術や脊髄の神経のけがなどによるもの

中枢神経と陰茎の神経のつながりが断たれるため

◎ 薬剤性によるもの

一部の高圧薬やうつ病治療薬などの副作用

◎ 喫煙・飲酒・ストレスによるもの

これらの原因が単独、もしくは複合してEDを引き起こしている

●EDの治療ってどんなもの?

EDの最初の治療は、上記の原因となるものを問診や検査で特定して、それを解消することからスタートします。 心理的な問題がある場合は、その心理的にストレスを感じるものの除去や環境整備、そしてカウンセリングなどが必要となります。

また高血圧などの循環器の病気や糖尿病のような疾患の場合は、まず基礎疾患を良くすることが大事です。規則正しい生活と適度な運動、身体にいい食事などを心がけることが大事です。

上記の原因の除去を行っても主訴が改善されない場合、薬物療法になってきます。薬物療法で使われる薬剤は、皆さんもバイアグラを始めとするED治療薬です。

前述の通り、1999年にこの薬剤が日本で認可されてからEDというものが徐々に認知されてきたという背景もあります。
今は日本に同様の薬剤が他にも2種類(レビトラ錠・シアリス錠)あり、作用機序は同じですが、作用時間や効果の強さで使い分けされています。

※作用機序とは・・・薬物が生体に作用を現す仕組み(メカニズム)のこと

これらの薬剤は個人輸入で入手される事が多い現状ではありますが、それははっきり言って非常に危険です。この系統の薬剤は身体の状態によって使えない場合もあり、医師のきちんとした診断と処方によって効果を発揮するものです。
薬の使い方を間違えると大きな副作用、場合によっては命さえ危険な副作用に結びつく事がありますのでご注意頂ければと思います。

それから薬剤以外に陰茎注射剤療法など、様々な治療法があるようです。
しかし、これらはケースバイケースで、医師の指示に従って使われるものですので、医療機関にて医師と相談の上、治療を進められると良いかと思います。

不妊治療とEDについて

妊治療において最近、注目されているEDは2つあります。

1つは排卵日EDです。
妊娠を希望する妻が排卵日になるとSEXを要望してくることによるEDです。男性というのは自分から自発的に動かないと性衝動が起きにくいように出来ているようです。

ドクター取材すると“排卵日なのにちゃんとSEX出来てない”という訴えが、クリニックでも増えているそうです。

もう1つのEDは新婚(成田)EDです。
結婚までは順調だったのに、新婚旅行から帰ってきたらEDになってしまうというパターンです。今まではなかなか会えないのでSEX自体が非常に価値ある時間だったのが、結婚して毎日可能になってしまうと急にEDになってしまうケースが増えているそうです。男性の性的なメンタルはとても繊細だということが分かるかと思います。

両方とも第一の選択は薬物療法です。
薬物療法をしながら、自分たちの生活習慣や性生活をきちんと見直し、夫婦で話し合い、改善することが必要となります。

医療機関へ相談する事は改善の大きな一歩になるかと思います。
ED治療に理解のある泌尿器科医か、子供が欲しい場合は不妊専門医に相談されると良いかと思います。

<最後に>

今回はEDについての解説でした。
この記事を読まれるのは圧倒的に女性が多いと思いますが、男性の性衝動というのは本当に気まぐれと言うか繊細なものだということが分かるかと思います。

また、ED自体が精神状態や身体の状態のバロメーターになっているので、EDだと分かった時には薬で解決するだけではなく、自分の体や心は健康なのかどうかを自分自身確認することが大事かと思います。

また、子供を望まれる場合はご夫婦の問題ですから、よくコミュニケーションを取りながら解決に向かっていくことをお勧め致します。
私はいつも言っているのですが、ED治療においては、野生に帰ることがとても大事だと思っております。アウトドアを楽しんだり、運動したり、旅行したりすることが改善のきっかけになることが多いようです。特に運動はてきめんに効果が出ます。
あまり激しいものは必要ないので、自分の身体を活性化できる運動を定期的におこないたいものです。

また、食事も精子や脳に良い食べ物を意図的に摂りたいですね。
うなぎやすっぽん、しじみは昔から良いと言われていますし、野菜・果物ではにんにく、やまいも、ざくろに強精効果があると言われています。これらの食物を見てみるとビタミンやミネラル、抗酸化物質がバランスよく含まれているのが分かりますね。

男性の妊娠力を上げるための生活習慣や食習慣については、次回にご紹介出来ればと思います。

■コラム執筆 池上文尋 氏

オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。

池上先生のイラスト
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