16、女性性機能障害(FSD)の診断と治療

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第16回: 女性性機能障害(FSD)の診断と治療

前回から非常にデリケートなテーマを扱っておりますが、今回は女性性機能障害の治療や生活習慣にフォーカスして解説をしてまいります。
まず、原因を大きく2つに分けると「心の問題」と「身体的な問題」の2つに分類できるかと思います。

問診と診断について

医療機関で診療した場合、まずは問診をされて、色々と質問されますが、その時点で分かる事が多いようです。

問診では、性行為の状況・環境・パートナーシップ、さらにそれまでの性的体験(性歴)によって、障害の原因をたどることになります。その上で身体的な問題が疑われる場合、血液検査やホルモン検査を行う事になります。

また、心理学的な問題と判断した場合は、専門的な性治療へと進むことになります。
慢性疾患・薬物・出産・手術の影響など、身体的因子によるものや、心理因子との混合型もありますので、ドクターはその状況を詳しく把握するべく、詳細に質問をされる場合もあります。

治療について

●心因性の治療

治療にはカウンセリングや行動による治療があります。2つをうまく組み合わせ治療を進めて行きます。女性性機能障害(FSD)の治療は、セックスへの罪悪感や恐怖感を減らしていくことを目的にしています。

そのために、まずセックスが楽しいものであることや、カップルがお互いの感情を伝え合うことの大切さを学べるような訓練法があります。
例えば、ロマンチックな小説やソフトポルノの読書、また素敵な恋愛映画を積極的に観ることで、性的イメージを豊かにし、人が性的存在であることを受け入れるようにしていきます。

●身体が原因の治療

身体因性のFSD では、原因疾患の除去が第一目的になります。
子宮内膜症などによる疼痛や外陰部の摩擦による痛みなどが原因になることも多いので、それに応じた治療が必要になります。

また、FSDの原因に薬物の副作用が疑わしい場合、「中止・変更」が可能であれば試みる必要があります。

性欲障害には、テストステロンが有効な場合も多く、男性・卵胞混合ホルモンのボセルモンデポー注,ダイホルモンデポー注などが勧められます。欧米ではFSD用のテストステロン貼付剤の販売も既に行われているようです。
その場合、副作用である男性化作用に注意が必要です。

医療機関へどのように相談すればよいか?

FSDの場合、まず何科で相談すればいいのだろうと言われる方がおられますが、基本は産婦人科になるかと思います。心療内科でFSD治療をされている女性医師もその選択肢に入ると思いますが、非常に数は少ないと考えられます。

FSDの場合、どうしても男性医師に相談するのは恥ずかしいと言われる方も多いので、その場合は女性医師のおられる医療機関を探されると良いかと思います。

不妊治療におけるFSD

FSDが原因で不妊のケースは少なからず、存在します。よって、赤ちゃん待ちの場合は、どうしても避けられない疾患である事は間違いありません。

しかし、高度生殖医療が進んでいる今は、もし仮にSEXがうまく出来なくても、人工授精や体外受精で妊娠に至る事も可能なので、FSDの治療がうまく進まなくても、赤ちゃんを授かる可能性は高いと思います。

先日もある親しい院長とお話をしていて、FSDでどうしてもSEXが出来ないカップルがいて、体外受精で赤ちゃんを授かり、たいそう感謝されたというお話を伺いました。

よって、FSDで悩んでいても、赤ちゃんが欲しい場合は不妊専門の医療機関への相談をお勧め致します。

<最後に>

男性のEDも女性のFSDも本人にとっては非常につらいものだし、なかなか相談の出来ない内容だと思います。 しかし、赤ちゃんが欲しいとなると勇気を出して、一歩を踏み出すしかありません。

夫婦でよくよく話し合い、信頼出来るドクターを見つけて、出来るだけ早く行動に移して頂き、望む結果に結び付けて欲しいと思います。

この分野は、まだまだこれから色々と研究されるべきテーマが多いと 思われます。
また、新しい情報が入りましたら、こちらでご紹介出来ればと思います。

■コラム執筆 池上文尋 氏

オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。

池上先生のイラスト
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