10、子宮奇形について

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第10回: 子宮奇形について

子宮は、胎児期の早い時期に、2つの管状の臓器(ミュラー管)が1つになり作られるのですが、その融合がうまくいかない事が子宮奇形の原因と考えられています。
なぜ融合がうまくいかないかの原因は不明で、全女性の約4~5%にこのような奇形がみられるとのことです。

子宮奇形とは?

不妊症の原因として、子宮奇形が挙げられます。
正常の子宮の外観は、前後にややつぶれた洋ナシを逆さまにしたような形をして おり、内腔は三角状になっています。

しかし、子宮が2つに分かれていたり、違う形になっていることがあるのです。
そのような子宮の形が本来と異なるものを全て「子宮奇形」と分類されます。

子宮奇形の種類

子宮奇形は「形」によって名前がつけられています。
代表的なものを下記に挙げます。

重複子宮

独立した子宮が2つあり、子宮口も腟も2つ存在するもの

双頸双角子宮

1つの子宮の中に2つの内腔が存在し、子宮口も2つあるもの

単頸双角子宮

子宮自体がハート形をしていて子宮内腔がくびれているもの

中隔子宮

子宮の形は正常でも内腔に壁があるもの

弓状子宮

子宮の上のほうの“子宮底部”がややくぼんでいるもの

単角子宮

左右のミュラー管が癒合して子宮が形成される過程で、片側が欠損したり、 副角として痕跡だけを残すもの(副角子宮)。
子宮の大きさが、通常の半分の大きさしかないこともある。

子宮奇形の種類

子宮奇形の種類

子宮奇形による症状は、その形態によってさまざまですが、多くは無症状で、不妊症や習慣性流産の検査時に明らかになることが多いです。

腟に通じていない機能性子宮があると、思春期に月経が発来した際に、月経血の貯留をきたして、月経時に下腹痛が現れます。

また、妊娠時には胎児発育遅延の原因となったり、分娩時には子宮収縮異常や子宮形態異常による胎児の回旋異常や、分娩停止の原因となりえます。

子宮奇形の診断法

子宮奇形が疑われる場合には、子宮内部を調べるために子宮鏡検査 (細いファイバースコープで子宮の内腔をのぞく検査)や子宮卵管造影法 (子宮の内腔に造影剤を入れて子宮の形や卵管の通過性をみる検査)を行って診断します。

また、子宮の外観を調べるために超音波検査やMRIで検査しますが、確実なことはわかりません。このため、必要があれば腹腔鏡検査を行います。

また、子宮奇形に腎臓や尿管の奇形が合併することがあります。
子宮奇形がある場合には、超音波検査や腎臓や尿管の造影検査を行い、腎臓や尿管の奇形がないかどうかをみることも必要になります。

子宮奇形と不妊治療

治療は手術のみです。

しかし、奇形であっても正常に、妊娠・出産できることも多いので、必ず治療が必要になるわけではありません。次のような場合に手術をすることがあります。

1) 他に明らかな原因の無い不妊症の場合。
2) 流産や早産を繰り返す双角子宮や中隔子宮の場合。
3) 下腹痛などの症状が子宮奇形と関係している場合。

●重複子宮

一般的には手術しないことが多く、状態のいい方の子宮で体外受精をすることがあります。

●双角子宮

子宮が2つにわかれていて、子宮奇形の中でも最も多い種類の奇形です。不妊の流産の原因になります。手術をすることが多い(開腹して子宮形成)ですが、双角子宮のままでも妊娠することもあります。

●中隔子宮

不育症に多いタイプの奇形で、子宮の中がふたつに仕切られている状態です。中隔子宮だと、妊娠しても早期流産や早産を引き起こしやすくなります。
中隔をとりのぞく手術は、子宮鏡を使っての手術(子宮鏡下手術)になります。

●弓状子宮

子宮の上部が弓のような形にくぼんでいる奇形です。検査で発見されることは少ないですが、不妊や流産の原因になることもあまりありません。そのため、手術で治すことは多くありません。

●単角子宮

子宮が片側だけしかないような状態の奇形です。手術で治すことは難しいといわれています。

<最後に>

今回は子宮奇形について解説をさせて頂きました。
「奇形」というとその言葉からネガティブに捉える方がおられますが、ドクター達に伺うと子宮もそれぞれ大きさや形に個人差があるとのこと。

子宮奇形は、妊娠、出産に支障をきたすものを疾患と捉えていると言われていました。逆にいうと、きちんと機能して、カラダに異常がなければ個人差の範囲に入るという事です。
よって子宮奇形でも普通に出産されるケースもあり、個人差があるものだから、それぞれのケースで治療方針が違う事になるかと思います。

よって、子宮奇形の場合、主治医との“信頼関係”と“話し合い”が大事と考えられます。

■コラム執筆 池上文尋 氏

オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。

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