2、妊娠にいたらない理由とは?

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第2回: 妊娠にいたらない理由とは?

前回は妊娠までの道のりについてホルモンの働きを中心に解説を行ないました。 今回は、では妊娠しない方は何故、「妊娠に至らないのか?」という理由について解説をしていきたいと思います。

未妊の主な原因10項目 ご存じでしたか?

1、排卵障害(多嚢胞性卵巣症候群・早期卵巣機能不全・黄体機能不全等)ホルモンの異常により、卵子を排卵しない状態
2、キャッチアップ障害(卵管采不全)卵子を卵管に取り込む卵管采が機能しない状態
3、卵管因子(卵管通過障害・卵管留水腫・腹膜癒着等)卵管が何かの原因で詰まっており、卵子が通れない状態
4、着床・内膜因子(子宮内膜症・黄体機能不全)子宮内膜の異常や内膜を維持するためのホルモンを分泌する黄体の機能に異常がある状態
5、子宮頸管因子(頚管粘液の分泌不全)精子の通り道である子宮頚管の機能が異常
6、子宮因子(子宮奇形・子宮筋腫等)子宮の形に奇形があること
7、セックスレス(EDなど)性交渉がない状態
8、免疫因子(抗精子抗体等)精子を異物と認識して免疫で攻撃する状態
9、男性因子(精子因子・ED・射精障害等)精子が少なかったり、なかったり、運動率が低い状態
10、原因不明(以上の9項目に当てはまらないもの)

分類の方法はドクターによって多少違いますが、上記のような原因が単独、もしくは複合で存在するために不妊となっているわけです。

でも、この中で最も多い原因をご存知でしょうか?

それは圧倒的に「原因不明」が多いのです。だから先生方とお話しすると原因のはっきりしている患者さんは“ありがたい”と言われます。それは原因を改善すれば妊娠する確率が、ぐんと上がる事をご存知だからです。

例えば、明確に卵管因子だと分かれば、通気通水法や体外受精で妊娠する訳で、そんなに色々と治療を選択しなくても良い事になります。

しかし、原因不明の場合はそれが精神的なストレスを原因にしているのか、それともたまたまその時期にそういう状態なのか?など様々な事を推定し、ドクターは治療にあたる事になります。

人はそれぞれ、身体の状態や家族の事情や自分の精神状態の上下があり、それが環境によっても日々変動しています。クリニックで診察してもらう時には、そのごく一部の時間を輪切りにした状態で診断をすることになります。

だから、時によっては、ドクターにとって診断のしにくいケースもあるのです。

したがって、ドクターは自分の経験と海外などの文献を基にしたEBMに則った検査を行なうと同時に、検査的な治療を行なう事もあります。

細かな検査をまとめて出来ないので、とりあえずタイミング療法など簡単に出来る治療から行なってみて、もしそれで妊娠出来たら、たまたまその時に異常があって、解消されたと判断する訳です。

意外とこれで妊娠する人も多いのです。また試しに排卵誘発薬を投与してみて、それが反応するかどうかというのを診て、身体の状態を把握することもあります。

この辺のさじ加減がドクターの経験や腕の見せ所だったりします。また、ドクターによってはその巧みなトークでその患者さんの心の奥にあるストレスや不安を引き出し、それをカウンセリングで解消される方もおられます。

それから、男性の不妊(未妊)の原因について少しお話したいと思います。

男性不妊の原因は、精子の問題(無精子症・乏精子症)、精巣の問題(精索静脈瘤)、セックスレスの問題(EDや射精障害)などが挙げられます。その率は全不妊原因の約半数を占めます。

現在、女性の治療より男性の治療を啓蒙しようという動きが出てきています。それは、男性の方がだんぜん検査も楽だし、費用もかからないので出来るだけ早く検査をし、早期に精液所見を調べると何か異常が見つかった時に早期治療できるというメリットがあるからです。男性のブライダルチェックも徐々に広まりを見せています。

つい数年前まで、不妊治療は女性だけの治療であるというような固定観念が、男性側にあったのも事実ですが、最近は様々な媒体で男性不妊の特集が組まれる事もあり、不妊の原因の半数は男性が関わっていることも周知となってきました。

どちらにしても妊娠を望むのであれば、出来るだけ早く、自分の身体の状態を知っていただくという意味で婦人科検診や精液検査だけは、受けておいて頂くのが良いかと思います。

■コラム執筆 池上文尋 氏

オールアバウト不妊症ガイドを16年に渡り担当し、これまで、日刊妊娠塾、妊娠力向上委員会や不妊治療お薬ナビ、胚培養士ドットコムなど、不妊治療に関わる多くのインターネットメディアの編集長として活躍、現在に至る。

池上先生のイラスト
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