不妊治療ビギナー編「知ってて良かった」|人工授精で双子が妊娠しやすいってホント!?その割合は?

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不妊治療ビギナー編

人工授精で双子が妊娠しやすいってホント!?その割合は?

人工授精は、精子を直接子宮内に注入する治療法で、それ以外は自然妊娠に近い形で妊娠できる治療法とされています。
しかし、人工授精は、「双子を妊娠しやすくなる」ともいわれています。

そこで今回は、

1.どうして「人工授精(AIH)を行うと双子を妊娠しやすくなる」といわれているの?
2.双子を妊娠する確率は?
3.人工授精で双子を妊娠すると?
最後に、自然妊娠でどのようにして双子ができるのか?


についてご紹介します。

人工授精で生まれた双子


1.どうして「人工授精(AIH)を行うと双子を妊娠しやすくなる」といわれているの?

「人工授精で双子を妊娠しやすくなる」のは、治療に使う排卵誘発剤が影響しています。
双子を含む多胎妊娠(※)は、排卵誘発剤によって引き起こされます。

排卵誘発した場合、卵胞の数をコントロールすることができないため双子を含む多胎妊娠の可能性が上がります。

 

※多胎妊娠とは、双子や三つ子など2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠すること。


人工授精を行う場合、排卵誘発剤で卵子を育て、排卵のタイミングで人工授精を行います。この時に、2つ以上の卵子を排卵し、2つ以上の卵子が受精、着床すると、双子などの多胎妊娠となります。


2.双子を妊娠する確率は?

出生数からみた双子の割合は?


厚生労働省の資料によると、双子の出生数は減少を示しているが、単産の出生数の減少もあり、双子は全体出生率のうち2パーセント(約1.8%)程度ということが分かります。

“双子は平成17年以降減少傾向となっている。
単産ー複産の種類別に出生数をみると、ほとんどは単産であるが、双子は平成16年まで増加傾向がみられたが、17年以降は減少傾向となっている。
平成21年は単産の出生数が105万人、双子の出生数が2万人となっている。(図12)”
「単産ー複産の種類別にみた出生数 ー 昭和50〜平成21年 ー」より

双子が生まれる割合

人工授精で、双子になる割合は?


自然妊娠の約1パーセントは多胎妊娠となります。
人工授精では、使用する排卵誘発剤によって割合が違いがでます。
排卵誘発剤の中でもクロミッドなどの作用の弱い薬を使用した場合は、4〜5パーセントの割合で双子を含む多胎妊娠となります。
ゴナドトロピン(hMG-hCG)療法になると、15〜20パーセントとされています。
注射を使用する場合は、複数の卵子ができやすくなるためです。

人工授精で双子が生まれる割合のグラフ

一方、人工授精(AIH)からステップアップして体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療になると、双子を妊娠する確率はぐっと下がります。

以前は妊娠率を上げるため、複数の受精卵を子宮内に移植して、双子以上の多胎妊娠が増加しました。
そのため早産の赤ちゃんや、少しでも長い間妊娠を継続できるよう管理入院が必要な妊婦さんが増えてしまいました。

しかし、現在は生殖補助医療で移植する受精卵は原則として1つとされています。
35歳以上の女性や、2回以上治療を受けても妊娠が出来なかった場合は、2つの受精卵を移植することができるとされています。
生殖補助医療の場合、子宮の中に1つの受精卵しかないため、双子を妊娠する割合が低くなっています

 “生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する。治療を受ける夫婦に対しては、移植しない胚を後の治療周期で利用するために凍結保存する技術のあることを、必ず提示しなければならない。

出典:日本産科婦人科学会「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」


3.人工授精で双子を妊娠すると?

双子を妊娠した妊婦さん

双子を妊娠できれば、一度の出産で2人の赤ちゃんを授かれ、幸福も2倍というイメージがありませんか?
実際に双子を産んだ知人は、「幸せも2倍で楽しい」と一度に2人を授かったことを喜んでいました。
しかし、双子などの多胎妊娠にはリスクもあるので、注意が必要です。
また、そのリスクは人工授精の場合と自然妊娠の場合とで変わりません。

双子以上を妊娠している場合、1人の赤ちゃんを妊娠する場合と比べて子宮が大きくなり、流産や早産のリスクが高くなってしまったり、赤ちゃんも小さく生まれてくる可能性が高くなってしまいます。

その他、1卵性の場合、1つの胎盤を2人の赤ちゃんで共有するため、バランスを崩さないための管理も必要となります。

出産も原則として帝王切開による出産を行っている病院が多いようです。
双子を出産しようとする場合、母体にも赤ちゃんにもリスクがあるため、個人病院では出産を受け入れてもらえないこともあります。
できればNICU(新生児集中治療室)やM-FICU(母体胎児集中治療室)のある施設、で出産するのが望ましく安心です。

双子を妊娠していると分かった時は、早めに出産できる病院もチェックしましょう。

このように、双子を妊娠すると、自分の理想とするバースプランを優先ではなく、安全面を考慮して妊娠生活を過ごし、出産に備える必要があります。

出産後の双子や三つ子の赤ちゃんのお世話は、単産の場合にくらべると負担も大きくなります。
両親や友人、自治体や双子サークルなどの手助けを事前にチェックして上手に利用したいですね。
その他、多胎児家族への情報提供や支援をしている団体などもありますので、こちらもご活用ください。
人工授精で授かった双子の女の子


最後に、自然妊娠の場合どのようにして双子ができるのか?


人工授精ではなく自然に双子を妊娠する場合、大きく分けて2種類あります。

1.2つの卵が偶然排卵され、2つとも着床し双子として育ちます。
2つの卵子と精子からでき、別々の遺伝子配列をもつ「二卵性双生児」
(さらに胎盤の数とや羊膜の数で数種類される)

2.1つの受精卵が着床するまでに2つに分かれ、2つとも着床し双子として育ちます。
1つの卵子と精子からでき、同じ遺伝子をもつ「一卵性双生児」

双子の種類を図解

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