不妊治療ビギナー編「知ってて良かった」|男性不妊の原因と治療法

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不妊治療ビギナー編

男性不妊の原因と治療法

男性不妊に悩む男性の後ろ姿

妊活というと、女性側ばかりが取り上げられてしまいがちですが、妊娠は女性一人では成立するものではありません。
また、不妊の原因の約半数は男性側もしくは男女両方にあるとなっています。
今回は男性側の不妊原因とその治療法についてご紹介します。

不妊原因の円グラフ


男性側の不妊症の原因は、大きく分けて射精が上手くいかない性機能障害と、射精はできても精液の中に含まれる精子の数や精子の運動率が思わしくない精液性状低下に分けられます。

精液性状低下はその状態によって、軽度・中等度のものと高度・無精子症に分けられます。
男性の不妊症の場合、これらの不妊の原因応じて人工授精のほか、薬を使った治療や手術などの治療法があります。

原因が性機能障害の場合

性機能障害とは、勃起不全(ED)性欲低下障害など、性に関するいろいろな障害のことを指します。

原因が性機能障害の場合はストレス等によっても障害が起きることがあります。不妊治療としてタイミング指導を受ける場合、タイミングに固執しすぎるとそれがストレスになり性機能障害を悪化させてしまうことがあります。

ここで性機能障害の治療法をご紹介します。

・抗うつ薬
性機能障害の一つに逆行性射精と言って、射精時に精液がぼうこう側へ逆流してしまうものがあります。抗うつ薬はこの逆行性射精の時に使われることがあります。

・PDE-5阻害薬
PDE-5阻害薬は、勃起不全(ED)の治療薬として、EDが不妊の原因になっている場合に使われます。

・射精障害に対する治療
精障害とは、勃起障害とは違い勃起は起きるのに、正常に射精ができない状態です。例えば、マスターベーションに慣れてしまい、セックスの時に射精ができないという場合があります。このような場合は、器具を用いてマスターベーションの方法を矯正できるか試みます。

・人工授精
男性側に不妊の原因がある場合で、性機能障害の治療の成果が出なかったり治療を希望しなかったりする場合や、夫婦の年齢が上がってきて妊娠を急ぐ場合には、人工授精による治療を行います。

原因が精液性状低下の場合

精液性状低下とは、射精される精液の中に含まれる正常な精子の数や精子の運動率が低くなっている状態です。

精子たちのイラスト


精液中の精子の数が極端に少ない、運動率が極端に低い場合は高度の精液性状低下に分類されます。また、射精された精液の中に精子が全く見られない状態を無精子症と言います。

・軽度〜中等度の精液性状低下の場合
内科的治療として、精子形成や射精を障害する可能性がある薬剤や、喫煙、アルコールなど、男性不妊の原因になりそうな生活習慣は可能な範囲で改めます。
また、脳の視床下部や下垂体の機能不全が原因の場合は、内分泌療法を行います。

さらに、精索静脈瘤があり精子形成障害がある場合は、将来精子形成障害が起きる可能性が考えられる場合は精索静脈瘤に対する手術を行います。
精液性状低下が軽度〜中等度の場合は、人工授精により妊娠をすることもあります。
男性不妊の手術の様子

・高度の精液性状低下・無精子症の場合
精液中から精子を採取することが出来ない場合、精巣精子採取術により精子の採取を行います。採取した精子は顕微授精法など生殖補助医療によって卵子と受精させます。

また、射精した精液の中に全く精液が含まれていない無精子症でも、精巣内では精子が作られているにもかかわらず精子の通り道(精路)に閉塞があり精子が出てこれない閉塞性精子症という症状があります。

その場合は、閉塞を取り除いて精子の通り道を再建するという精路再建手術が行われます。精路再建手術を行い精子の閉塞が解消され、射精した精液中に精子が含まれるようになれば、自然妊娠も期待できます。
精子提供を受けた家族の写真
これらの治療を行っても妊娠しない場合は、非配偶者間人工授精を考えることになります。非配偶者間人工授精は、夫以外の人から精子を提供してもらい、人工授精をする治療法です。この方法の場合は、父親と子供に遺伝伝的な繋がりがないことや子供にそのことを伝えるかなど、問題が多く慎重に考える必要があります。

このように、不妊症の原因が男性側にある場合もあります。妊娠力は年齢ともに衰えていきます。妊娠を希望していてもなかなか赤ちゃんができないという場合は、先延ばしにするのではなく、早い段階で一度泌尿器科などで診察をしてもらうことをお勧めします。
早めに男性不妊検査を受けてくださいね。

 

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